愛媛県への質問書ー測定と予測

6.放射線量の測定と予測

 放射線量の測定と予測はモニタリングポストのみで大丈夫ですか。航空機などの広域観測データやSPEEDIとERSSを組み合わせた予測を使うことは考えていらっしゃいますか。

 

県の回答:

 福島第一原発事故の教訓を踏まえ策定された国の原子力災害対策指針では、放射能影響予測システム(SPEEDI)による放射性物質放出量予測や気象予測には不確実性が伴うため、かえって被ばくのリスクを高めかねないとして、緊急時の避難等の防護措置の判断には使用しないこととされ、代わって、原子力施設の事故状況やモニタリング実測値をあらかじめ定めた基準と比較して判断するとされております。
 県広域避難計画では、同指針に基づく防護措置を盛り込んでおり、県では緊急時の放射線監視体制を強化するため、県内に配備済の固定モニタリングポスト46局に加え、新たに通信機能付電子線量計58局の整備を進めるなど、緊急時の放射線監視体制の強化を図っています。
 また、国では、緊急時において、放射能影響予測システム(SPEEDI)を緊急時の判断としては使用しないが、避難計画の具体化・充実化にあたって大気 中放射性物質拡散計算を活用する場合には、専門的・技術的観点から支援を行うとしており、今後の国の支援方策を踏まえ、緊急時以外の活用方法について検討 することとしております。

 

コメント:フクシマの例では、事故直後に浪江町の高濃度汚染地帯をピンポイントで地上車モニタリングできたのはSPEEDIの予測の実証となっています。予測の段階で逃げれば被ばくをしないですむ「可能性」がありますが、観測結果に基づいて逃げれば、UPZ圏の人はかならず被ばく前提の避難となります。PAZ圏の人も、逃げた避難先で被ばくするおそれを拭えません。失敗覚悟でもSPEEDIが使われることを地元住民は望んでいます。

 航空機観測データの活用は住民の別の懸念を解消してくれます。地上のモニタリングだけに頼るのでは、政府が計測したデータを適時には公表しないという隠蔽の問題が起こりえます。そこで広域の汚染分布を1、2日の内に調べることができる航空機観測データを用いて避難を指示することに決めれば、公開が遅くなる時間を短くすることができます。

しかしこれも用いることができない、という今の回答姿勢では、やはり国は、被ばくが手遅れになるまで公表しないつもりだな、と住民側は受け取ることになります。

 

 PAZ圏の人にとっての不安、逃げた避難先で被ばくする問題からすると、観測ポイントは30キロ圏外にも豊富にあってしかるべきです。